03/11 「電子機器」

 電子ガジェットというんですか、デジカメとかスマートフォンとかそういうやつ、男の子だったら割と好きな人が多いもので、いまだに携帯電話というかスマートフォンみたいなやつを新しいモデルが出れば買い替える人というのは多々いたりするものです。iPhoneの行列に並ぶひととかもう並ぶのが好きなだけな気がしますが。
 で、ああいうものはわたしが小学生中学生くらいの頃までは「ひとつのデバイスでいろんなことができるようにする」のが主流でして、ラジカセでテレビの音声が聴ける(後で液晶画面がついてテレビが見られるものが出た)とか、ラジカセでCDやらレコードやらぜんぶが聴けるのが出たとか、ラジカセでアフレコから多重録音からできるものとか。ラジカセばっかだな。ファミコンができるテレビとかな。いままでに持ってる人ひとりしか見たことねえけど。
 いまは「とにかく小さくする」ことに腐心しているきらいがあって、技術が進化していくとともに昔はいくつものマイコンが必要だったものがワンチップでできるようになったり、ばかでかいハードディスクとかメモリチップが必要だったものがワンチップに数ギガバイトのデータが入るようになったりして、昔と同じものをより小さい本体でできるようになったからというのもあるんでしょう。
 機能としてたとえばテレビを見るとかラジオを聴くとか音楽を聴くとか、あるいはカーナビゲーションとかそういういろんな機能がネットの回線を使えばなんでもできてしまうわけですから、それらを処理できる小さなコンピュータがあればそれだけでテレビもラジオもラジカセもカーナビも全部兼用できてしまうわけですね。
 わたしも高校生のときにPC-9801を自分のパソコンとして入手し、パソコンにハマって以来、ずっと「小さくていつでも持ち運べていつでもメールを見たりできるパソコン」を探してあれこれ買いあさってみたもんです。
 最初は家で父親が使ってたPC-9801NA/Cというカラーの(といっても16色の)ノートパソコンで、486CPUと親父がオトナマネーに任せて積んだ8MBの拡張RAM(当時はすごい高価でヨダレが出るような代物だったんです)、100MBのハードディスク(当時は以下略)という、わたしが当時メインで使ってたパソコンよりも数段ハイスペックなマシンがノートパソコンとして持ち歩けるという素晴らしい代物だったんですが、これがまあ重いこと重いこと。今見たら3.4キロもありやがるの。しかも分厚くて、国語辞典くらいの厚さがありましたからね、それでも「パソコンを持ち歩ける」ってのがうれしくて高校時代なんかはそれを持って意気揚々と学校へ行ってたもんです。よくやってたなあんなこと。いったいなにがわたしにそこまでさせたのか。
 で、大学に入ったころに出たのが東芝のリブレット20。当時、WindowsCEとかっていうやつはありましたが、家で使ってるのと同じWindows95そのものが持ち運べるあの大きさのものなんて存在してなかったですから、これはもう一も二もなく購入ですよ。高価でしたけどね、アルバイトしてはじめて買った大きい買い物だった気がするな。ああいやサンヨーの使い物にならないデジカメのほうが先だったかな。
 わたしが通ってた大学では、当時大学構内にPIAFSで接続できるアクセスポイントが学内中にあり、さらにそれに接続するためのモデムカードを申請すれば無料で貸し出してくれて無料で接続できるというようなことをやってまして、これとリブレットがあれば、学校にいる限りいつでもどこでもネットつなぎ放題ですよ。
 当時まだテレホーダイとかの時代で、ネットに接続するには電話代がいる時代でしたからこれはもうむっちゃうれしいわけです。もう授業中とかパソコンでメモするふりしてむっちゃネット見てた。ときメモのサイトとか見まくってたもの。ていうかほとんどときメモのサイトしか見てなかった。もう大学も一所懸命インフラ整備してテクノロジに乗り遅れまいとしているのにそれの無駄遣いもいいとこだよな。あとこのサイト作ってた。その頃から童貞こじらせかけてたけどあの頃には夢があった。なに思い出に浸ってんだ。
 余談ですが、このリブレット20ってやつはいまでもものすごく気にいってて、さすがにもうスペック的に古すぎるので使うことはないんですけども、マウスの代わりに使えるリブポイントなる操作方法もよかったし、バッテリもそれなりに持つし、なんつってもどんな鞄に入れてもまったく邪魔にならない大きさと重さがすばらしい。モバイルノートのひとつの究極系だと思いますいやほんとに。あのガワのままで今のスペックで出てくれればいいんですけども、Macbook Airが軽いって云ったってそれよりも200グラムとか軽いわけですからたいしたもんです。
 その後も「小さくていろいろできるパソコン的なもの」を買いあさったりもしたんですけど、リブレットを超えるものもなく、いわゆるタブレット端末みたいなやつの台頭でおいやられてしまい、結果仕方なくいまはMacbook Airを使っている次第でございます。タブレットはなんか違うんですよ。キーボードとマウス的なもので動かすやつのほうが使いやすいんですね個人的には。
 まあ、わたしだけでなく、おそらく「家で使っているパソコンと同じデータを小さくて持ち運びができる端末でいつでも」っていうのは結構みんな思ってることであって、だからこそクラウドとかそういうのが出てきてるんでしょう。
 とまあ、電子ガジェットは進化の早い通信機器をはじめとして、最初はカセットテープをそのまま入れられるウオークマン、そしてCDがそのまま入るCDウオークマン、圧縮した音源なら何百曲も持ち歩ける携帯オーディオプレーヤになり、携帯電話と一体化したものになっていくわけで、なんかもうどんどん進化していき、人々は最初はその進化に戸惑ったり批判したりするものの、最終的には受け入れられていくものなわけです。
 ところが、そんな電子ガジェットの中で、未だになかなか受け入れてもらえないものが多いカテゴリってのもあるわけですね。
 先日、アップルウオッチが4月に発売されるというニュースが流れて、まあそのなんだ、発売前のデリケートな話題ですしね、アップルのファンは多いですし、わたしなんか未だにPC-9801を愛してやまず、クルマのナンバを98-01にしているくらいの98ファンなわけで、PC-9801ファンからすると当時のアップル製品ってのは問答無用の高級品であり、パソコンが高かった時代、PC-9801が40万円とかしていた時代に100万円とか出して買うプロユースかおしゃれか金持ちかというのが当時のMacintoshでしたから、まああれですよ、それでいてiPhoneとかMacbook Airは使ってる貧乏人のヒガミでありかつおしゃれのわからないダサいやつの云い分だと思って聴いていただければと思うんですけども、ってこれくらい前フリしておけば大丈夫だろ、あれカッコ悪くねえ? あれおしゃれとかそういうものでいいの?
 いやね、いやわかんないですよ、まだ発売日先ですしね、あれがすっごい売れて、電車でみんなiPhone持ってるみたいにみんなあれをつけてる光景が見られるかもしれないですから、その時はもうあたしのセンスなんてやっぱり限りなくゼロに近いどころかゼロだなあと思っていただければいいんですけど。でも今までああいうPHSとかあったよな。
 なんかこうなんだろうな、子どもの頃、ああいう腕時計みたいなデバイスに向かって声を出すと巨大ロボットが動いて敵と戦うみたいなテレビがよくあって、あれにあこがれてるとかっていうんならわかるんですけど、なんかこうそういうのをレオンとか読んでそうなちょい悪オヤジとか、六本木のスタバでこれ見よがしに新型Macbookとか開いて仕事をしているところを見せたくて仕方ないできるサラリーマンとか流行に敏感な人たちがつけるわけですよねあれを。しかも場合によってはあれに向かってしゃべったりするわけですよね。もうどう考えても爆笑じゃないですか。
 こういう直に身につけて使うデジタルデバイス……ウエアラブル端末ってのは、万歩計とか心拍計とかそういうものはともかく、ちょっとまえに散々騒がれて今ではどっか行ったGoogle Glassとか、いままでにあまたあった腕時計形コンピュータやPHSとか、ほぼ壊滅状態なわけです。
 だってよく考えてみれば、特に目が悪いわけでもないのにじじいの老眼鏡みたいなフレームのメガネをかけてて、実はつけている人には町の情報が出てるとか、外から見たときの間抜けさと実際に行われてる最新テクノロジの差が大きすぎてなんとも間抜けなわけですし、結局「なんか間抜けに見えやすい」ことがウエアラブルデバイスの最大の欠点なんでしょう。
 いやいやこれがアップルウオッチだとは云いませんよ、だってわかんないじゃないですか、雨傘が発明されたとき、たぶん最初のころにあれをさして歩くのってむっちゃバカっぽく見えたと思うんですよ。なにあんなんさしてんのみたいな。でも実際濡れないし便利じゃん、ってみんなが使うようになって認知されるみたいな。ウオークマンとかも、ヘッドホン(イヤホンじゃないです)を頭につけて歩くってのはおそらくすっごいバカっぽく見えたと思うんですけど、ソニーの社員の人とかが積極的にあれをつけて歩いて、「あれはカッコ悪くないんだ」ってことを実際に世間にアピールして売れたって話を聞いたこともありますし、なんかこう身につけて歩くものの異端さってのは最初は間抜けに見えるけど、ある程度見慣れるとおしゃれになるみたいなのはあると思うんですよね。だからアップルウオッチがどうだとは云いませんけどでもやっぱり六本木のスタバでMacbookで仕事しながらあれを見てる人がいたら爆笑だよな。
 万歩計とか心拍計とかだとそれをおおっぴらに見せることはないでしょう。万歩計なんかはむしろ見えないところに着けてる人は多いですし心拍計は「運動しているときにつけるんだ」という暗黙の了解がありますからまだいいんですけど、こういったウエアラブルデバイスは「通勤時とか平時にもつける」というその微妙さなわけですね。
 しかもアップルウオッチの場合、値段設定がいちばん下でも4万円、上は120万円ですからね、もうギャグとしか思えない値段設定なわけで、ここまで来るとそういうガジェット好きかほんとの道楽的金持ちかがターゲットなわけでして、アップルが本気なのかそうでないのかいまひとつよくわからないんですけどもまあきっと素敵ですよ。なにがだ。
 ま、とはいえGoogle Glassよりは身につけて歩く敷居は低そうですし、売れる売れないはほんとにわかんないんですけど、それにしたってまあ絵面的にどうなのよ。何を着ればあれが似合うのかさっぱりわかんないっていうか、アルマーニの背広も首が伸びたアニメTシャツもどっちも似合わないだろあれ。そうかロボットを動かす隊員みたいな服か。

戻る