02/13「チョコレート論」

 ということで、毎年恒例のチョコレートの日が近づいてきているわけなんですけど、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 もうね、町が浮足立ってることこの上ないわけですよ。そりゃねいいですよ、デパートの地下とか洋菓子屋とかがフェアとかやるのはわかりますよ。そりゃそのために生まれた日ですもの、今日頑張らなくていつ頑張るんだってなもんじゃないですか。そりゃハート型のチョコだろうがケーキだろうが棒だろうが売ればいいだけの話ですよ。
 コンビニとかもまあわからなくはなくて、いわゆる義理チョコの習慣がある我が国においては、ああそういえば部長のぶん買い忘れちゃったから買ってこなきゃ、なんでもいいやファミマでいいかしら、みたいなニーズはあると思うんですよね。あんなもん誰が買うんだと思うところではありますがおそらくそういうあれがあるんでしょう。その割に住宅街のコンビニとかにも置いてあるけどな。
 でもなんでスーパーでやる必要があるのか。わざわざスーパーマーケットでチョコレートを買おうというのはどの層であるのか。あたしはもう毎日のように駅前のスーパーで半額のお惣菜か半額の刺身かもやしを買いますけどね、間違ってもチョコレートを買おうと思ったことないもの。そらまああたしがどちらかと云えばちんこがついているほうの種族だからというのはあると思いますけども。
 いやもしかしたらあれですよ、世界で一番屈辱的と云われている「家族からのチョコレート」ですよね、このために存在するのかもしれませんけどもね、買い物のついでに「あら今日はあの日なのね、せめてわたしからあげようかしらうちの息子どうせ今年も一個も貰えないだろうし童貞だしそれどころか女の子と手をつないだこともないし女の子を下の名前で呼ぶのが夢だとか云ってるしいっしょに初詣に行きたいみたいな中学生みたいな夢を33になっても持ってるし」みたいなそんなようななんでそんなこと知ってるんだ母親! いやさすがにもういい加減母親からもらうこともなくなりましたけどもね、そのなんだ、母親とか妹とかから貰うチョコレートはなんであんなに塩辛かったんだろうなあ。
 まあね、ここでも何度も書いてますけども、それに関してはあんまりこうどうでもよくて、たぶんこれ高校の時に男子校に入ったあたりからだと思うんですけども、なんかこう別の世界で行われていることみたいな感じで、それに参加しなきゃ!という焦りとかあんまりないんですよ。好きならやればよくね、くらいの感じで。
 そらもちろん憧れ自体はないわけではないんですけども、もうなんだ、あたしはバリンボリンの童貞ですけどもね、この年になるとさ、これをきっかけに告白、みたいなことはもうないんだろうなあ、くらいのことはわかるわけですよ。
 なんだろうなあ、結局これってアレじゃないですか、お互いにもうお付き合いをしている幸せ者同士が愛してるとかなんとか云いながらなんか確認しあうみたいなそういうアレだと思うんですよ。
 だからこう彼女がいる人がちょっと浮かれぽんちになるのはこれはもう当たり前でして、そらもう愛する人から愛の証を貰えるわけですからね、こらあ嬉しいですよ。いや経験はないけど嬉しいに決まってるじゃないですか。
 でもですね、本来であれば、なんだろうなあこう淡い思いを抱いていたあの人にこれをきっかけに告白しましょうみたいな感じのアレなわけですよコレ。もともとそういう目的で作られたわけじゃないですか。
 そういうのはすごくいい。それはやってみたいと云うかやられてみたい。なんかこう腐れ縁みたいな感じでさ、いつも通りなんとなく申し合わせたわけでもないのにいっしょに学校から帰ってたりしてるときにさ、「あ、あのさ」「ん?」「今日、チョコとか貰ったの?」「お前、俺のこと馬鹿にしてるだろ」「……別に、そういうわけじゃないけど」「まあ、貰ってないんだけどな」「……なによぅ、それ。馬鹿みたい」「馬鹿関係ないだろ」「そうじゃなくて! わたしが馬鹿みたいだって言ったの!」「よく意味がわからないんだけど」「貰えてないんだろうなあ、とは思ってたけどね」「失礼な。当たってるけど」「……しょうがないなあ、もう」「ん?」「はい、これ」「……なんだよ?」「なんだよって、チョコに決まってるでしょ!」「お前が? 俺に?」「わたしが、あんたに! どうせ貰えてないだろうからって思ってたから!」「……なんか今更すぎて、やったーチョコ貰った嬉しいーって感じがぜんぜんしないな」「……要らないなら今すぐ返して。お父さんにあげるから」「お前コレすごいな! 手作りじゃんか!」「ば、馬鹿! こんなとこで開けないの!」「うん、美味いな。お前、こういうの昔から得意だったもんなー。ぜんぜんお菓子作りってガラじゃないのに」「……あんたいつも一言多い」ちょっと不貞腐れた顔をするまみに「いやでもさ、ほんとに美味いよ。ありがとな」「な、なによ、急にそんなこと」「普段いろいろ世話になってるし、こんなときでもないとな。それにモテない俺に唯一のチョコをくれた天使ですから」「なにそれ。それじゃいい、せめて精一杯感謝すること!」「ついでかもしれないけどそれはそれで一個は一個だもんな」「……ついで?」「だってコレ、誰か他の奴にあげるぶんを作ったついでとか、そんなんだろ?」「……え? あ、うん、そうに決まってるでしょ! 馬鹿!」「いや、だから馬鹿関係ないだろ」ちょっと沈黙があって「……なんか、さ」「うん?」「なんかね、最近わからなくなってきてるんだ」「なにが?」ふとまみは立ち止まると「ずっとあんたとこうやって馬鹿やって、それでもいいって思ってたけど」「……まみ?」まみが真剣な表情でこちらを向いて静かに「わたしはね。友達としてとか、腐れ縁としてとか、そういうんじゃなくて、もっと」「……え?」しばらくの間があって、静かにまみが「あんたのことが、好きなのかな、って」みたいなそんなようなことじゃないですか。まあいつになく長いですね一文が。
 ……というようなそういうことがないことはわかってるわけです。だって学校行ってないし腐れ縁の幼馴染みいないし。いやいたけどもう結婚しちゃってね。保育園の頃婚約までしたのにね。またその話か。だって一方的な婚約破棄ですものそらあ大問題ですよ。生活笑百科に相談して四角い仁鶴にまあるく収めてもらおうかってなもんじゃないですか。
 つまるところ、このイベントは、ある意味で「彼女がいないと発生しない」という非常にレアな、CGの差分回収だけでもたいへんなイベントなわけですよ。今まで一秒たりとも彼女がいたことがないあたしのような人間にとっては未知のイベントっていうか、別世界で起きていることなわけです。
 だからこう、19円のもやしを買いに行く店でチョコレートなんか売られても、ある意味なんだろうな、ラーメン二郎で野菜ニンニク油を食ってるときにシロガネーゼたちが集まるお洒落パスタ店のカルボナーラのこととか考えないじゃないですか、そういう別世界のことを云われても困るわけでして、いやまあよく考えたら手作りしちゃおうみたいな人が原材料を買いに来るという用途もあるなあと思いましたけどここまで書いた文章を消すのが勿体ないので思い浮かばなかったことにして進めますけどね、だいたい手作りだなんだ云うならカカオ豆から育てろとかもう云わないことにして、なんかもうお幸せに。なんだそれ。
 ま、いいんじゃないですかね。ここを読んでいる全国童貞連合通称全童連の同胞たちの中にはどうしても世の中の浮かれぽんちな奴らが許せません!という人もいるかもしませんけども、それもなんだ、自分と関係のない世界で起きてることだと思えば案外許せてしまうものだったりすると思うんですよ。
 これがなんだ、もしかしたら自分と関係あるかもと思うから腹が立つわけで、たとえばあれですよ、なんかわかんないですけども、明日超お洒落なエコバッグが発売されます!みたいなこと聞いても別にどうでもいいし手に入らないで詰め寄る自称お洒落さんたちのことなんかまったく理解の範疇外なわけですし、そういうことだと思えばほら腹も立たない立たない。
 ……さて今回、最後までそのイベントの名前を出さずに書いてみましたがみんな気付いたかな? 今年はそういうこと一回も云わずに過ごしてやろうと思ってさ。なんだ結局気にしてるんじゃん。

<近況報告>
  • 今『SaGa2』のリメイク版をやってるんですけど、これさ、昔ゲームボーイをやったとき、小学生とか中学生とかそんなもんだったと思うんですが、カイの身体の中に入るイベントに妙なエロスを感じてた気がするんですよ。ていうか、ゲームの内容なんて忘れちゃいましたけど、それだけは覚えてるってことはよほど強烈だったと思うんですよね。
  • でさ、リメイク版でそのイベントをやってみたらやっぱり微妙にエロいの。なんなんだろうあのエロさ。なにがエロいんだろう。いや聞かれても困ると思いますが。
  • > 一定のフォロワーを獲得したアカウントを取引する人たちがどっかにいるのかもですね。
     それ割のいい商売だなあ。片っ端からフォローしてうまくいけばいくら、とか。でもこういう人ってフォロー返ししないでほっとくと二日くらいでいなくなるよね。だったら最初からしなければいいのに。
    > 春麗のパンツ中毒はどうすれば治りますか?KOされてパンツ丸見えでダウンしてるのがエロいんですもん。
     また君か! もうそこまで行くと治らないのでずっと抱えていて、いつかそれを上書きするようなエロに出会ったときに忘れてください。
    > 不良の人となにかあったの?
     いやもうこの年になると不良の人と直接やりとりがあることはないんですけどもね。なんてかこう、世の中不条理だなあと。
    > 占いが少し前まで「田井中律」ばかりだったのはマダム・セシールの趣味ですか。
     あれは純粋に占いの結果であり、決してりっちゃん一押しだからだとか、単行本のおまけでもらったかけかえカバー三種類(三冊買ったわけではなく一店舗でそれだけくれたのです)全部に表1表4両方および折り返しにりっちゃんが載ってないとかありえなくね?みたいなことを思ってついカッとなった、とかそういうことではありません、とマダムが肉うどんを食いながら云ってました。
    > 最近女装が流行ってますが、高御さんはどう思います?正直アキバの女装コスみたいのは勘弁です…
     いやあ、まあそのなんてんですか、いいんじゃないかな? 立場的にこうね、すごくコメントしづらいんですけどねこのジャンルはね。それに昔あたしもやってたし。でも秀吉は可愛いと思う。
    > 不良といえば『バリハケン』という漫画でのやり取りが面白いですよ。主人公がヲタク兼番長で、『声優の/握手会ですっ転んで負傷』を舎弟が『戦友をアクス改でぶっ殺して火葬』と勘違いしたり。
     それ間違うほうが難しくね!? でも不良の人のオタクは実は多いらしいですぞ。
    > 予告どおり更新とまったな
     ゲームレビューとかCGとかいちおうがんばってました! というのは駄目ですか。
    > うむ!
     うむ。
    > 身長174cmって背高い方なんですか?英語講師に言われて初めて気付いたんですが。
     平均かそれよりちょっと高いかなあくらいじゃないでしょうかね。あたし167とかそんなもんでちょっとちっちゃいなあ、くらいだそうですし。年齢にもよりますけど。英語講師ってことは学生さんなんでしょうけど中学生とかでソレだったら高いほうどころか明らかにでかい。
    > 我々男が「なんであんな不良に」と思うように女性は「なんであんなブリッコに」と思ってるんですかねえ。
     あー、それはあるかも知れません。下手すればもっとひどいこと思ってるかも。そして「ブリッコ」という言葉を聞いたのは実に10年ぶりくらいな気がします。

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