03/17「ほんとうの自分論」

 ということで、なんかあれだ、自分へのご褒美なんて云って誕生日に一人でホテルのレストランとか行ってプリンアラモードあたりを食べてるタイプのOLとかが、よく「ほんとうの自分を見て欲しい」みたいなこと云うじゃないですか。
 この「ほんとうの自分」というのは、それこそ就職雑誌からわけのわからん自己啓発セミナーみたいなやつまで多種多様、色々なところで使われる非常に便利な言葉なわけですけども、冷静になって鑑みるに、これってそんなにたいそうなもんなのかとこう思うわけですよ。
 だいたいあれですからね、ほんとうの自分なんて見られたら困るじゃないですか。いやさ、ここは云わばあたしの王国みたいなもんで、童貞王国ですねいわゆるね。もうね、ヨハネの黙示録がほんとだったらみんな生き残れる感じのね。さあみんなで旗をあげようじゃありませんか。国歌を歌おうじゃありませんか。もうなにがなにやら。
 いやまあそれはともかく、そういうあれですから、ここではあたしだって高らかに童貞宣言をしてますよ。そりゃもうね、女の子と一回も手を繋ぐのが夢ですみたいな本音も云いますよ云いますさ。皆様に対して嘘偽りなく裸で向き合うのがポリシーですからね、そりゃ今だってちんちん丸出しで書いてますよこれも。いやそれはどうかと思うよまだ寒いし。そういう問題じゃないだろ。
 だもんでさ、ここでは割と云いたい放題云ってますから、現実のあたしもなんかこう高らかに魔法使いの歌を歌っているのではないかと思われているかも知れませんけども、あれじゃないですか、現実では隠すのがある程度礼儀ってもんじゃないですかそんなものは。
 そりゃね、あたしだって最低限のプライドは保っていたいみたいなところもありますし、自分から「俺童貞なんすよ」とか云いませんよそりゃ。高校生のときに付き合ってた女の子としっぽりやってやりましたよくらいの顔で生きてるわけですよこの不細工面が。いいだろそれくらいカッコつけさせてくれたってさ。
 というそういうことからすれば、ほんとうの自分を見られるというのはこれはこれで非常に困ることなわけです。
 いやまあ、何度も云ってる通り、あたしは外見についてはどこを切り取っても恥ずかしい一流の不細工さんですし、内面についてもあたしが女性だったらまったく惚れるべきところが見当たらないタイプの純粋培養の不細工さんなわけでですから、いくらあたしが「いやもう学生時代は真剣に愛し合った女性がいて」とか云ってもお前は何を云ってるんだバレバレですがなと思われていること請け合いですけども、とりあえずそれを認めないことで保てるアイデンティティというのは大切なわけですよ。
 わかんないですよ、わかんないですけども、なんかこう美的感覚がちょっとどうか、みたいな女性がいらっしゃって、偶然あたしと出会ってなんかこういい仲になるとも万分の一くらいの確率でないとは限らないじゃないですか、そういうときにですよ、「ホームページやってるんだー、見たーい」なんて云われても、まかり間違ってもここを見せるわけにいかないじゃないですか。童貞宣言とかそういうのは隠しておくべき事項だと思うんですよ。いずれバレるとは思いますけど。
 とはいえ、いくら取り繕ったところで「ほんとうの自分」というのは基本的にコレですからね、まあその、いずれバレるのは仕方ないにしても、それはだいぶ先の話なのではないかとこう思うわけです。
 いやそりゃまあ、たとえばこのページを美的感覚的にちょっとどうか、みたいな女性が見ていてですよ、ちょっとこの人とお付き合いのひとつでもしてみようかしらと思ったとするじゃないですか。いや夢くらい見させてくださいするじゃないですか。
 その場合は別にいいんですよね、もうお互いにそういうのすべてを覚悟の上でお付き合いをしようとそういう話ですからそれはそれでっていうかものすげえ勇気あるなって話ですからね。まあ13年もサイトやってて今までそういう浮いた話が一回もないあたりでお察しくださいってなもんですけどね。現実って物語よりずっとしょっぱいよね。
 でもまあ、そうでない場合においては基本的にはやっぱりちょっとくらいカッコつけさせてくださいよ、みたいなことはないわけではなく、なんてかそれが一種礼儀みたいなとこもあるんだと思うんですよ。
 そういう場合において、「ほんとの自分」というのはこれはこれで困るわけで、いやまあある程度自分自身を出さないことにはお付き合いもなにもあったもんじゃないというのはわかるんですけど、ほんとの自分ってのはあれですからね、実は女の子と手を繋いだことすらないんですよってことまで含めてのほんとの自分ですからね、やっぱりなかなか云えないじゃないですかそういうの。
 そんでもって、がんばって云ったところで、それで「なおさら貴方が好き!」ってなことにはならないと思うんですよ。やっぱり普通の人だったら32年間生きててそれってどうなの、みたいなことになるんじゃないかとこう思うわけです。なんかこうこういうこと書き慣れてくるとあんまりそういう感じしなくなりますけども、ナチュラルに考えるとそういうもんだと思うわけで、なんてか世の中って非情よね、と思わないではいられませんね。なに達観してんだ。
 それを考えると、実はこの「ほんとうの自分を見て欲しい」という欲求というのは、実はものすごく自信のある発言であるということになりはしまいかとこういうことが云いたいわけですよ。
 だいたいですね、ほんとうの自分があるということは逆に云えば仮の自分もいるわけで、その仮の自分とほんとうの自分が遠く離れていることがあくまでも前提なわけですよね。それを「見て欲しい」というのもなんだかなあと云うか、じゃあ見せればいいじゃないと思わないではないのですけども、まあそのへんは云いますまい。
 まあその、わかりますよ、普段の自分がなにか演じてる自分で、実はほんとうの自分はこんなんじゃない、もっと高いステージにいるべき人間なのだというそういう発想というのはこの世知辛い世の中を生きていくうえではある程度必要なもんだとは思うんですけども、別段それが今の自分よりも優れているとは限らないわけですよ。いやもしかしたら優れてるかもしれないけど、それがかっこよく見えるかどうかという話になってくるとこれはもうまったく別の話じゃないかとこう思うわけです。
 それがなぜか多くの人は、ほんとうの自分はものすごく優れていると思っていることが予想されるわけで、それはそれでなんだかすごいなあと思わざるを得ないわけですよ。
 だってあれですもの、自分の場合を考えてみても、割とこれでも中学生くらいの頃はですね、全部さらけ出して生きてきたんですよ。まあなんてかな、中二くらいの頃はえてしてみんなカッコつけたがりになる時期ですけどもね、ちっともそういうほうへは行かなかったわけですよコレが。必ずどこのクラスにも一人はいるじゃないですか、ある程度笑いは取るんだけど決してモテるとかそういうのとは真逆のベクトルにいるタイプの人。まあそういうタイプだったわけですよあたしも。
 んでもってさ、それじゃあその当時のあたしがなんかこういいことあったかってとぜんぜんありゃしないですよ。ラブレター出してけんもほろろにふられたり、勇気を出して告白してみて美しいくらいばっさりと斬られたり、まあそんなんじゃないですか。もうある意味ここから男子校に進学した時点で魔法使い確定コースですよ普通に考えて。どうしてあんな根拠もなく自信に満ちていたのかタイムマシンができたら過去に戻って顔面を殴って目を覚まさせてやりたい。そして高らかに宣言するんだ。お前少なくとも数えで32までは童貞確定だぞと。
 というそういうあれで、まあなんだ、自分をさらけ出してみたところで、三枚目は三枚目が強調されるだけの話で、なにひとついいことなんかないぞと。ほんとうの自分がどれだけすごいのか知らんけどもそれに過度の期待をするくらいなら現身の自分をリライトしたほうがいいぞとちょっと哲学的なことを云ってみたりするわけです。どこが哲学的だ。
 ……いやまあね、そこが童貞君とそうでない人との違いですよと云われたらそれまでの話かもしれませんけどもね、じゃあなんでここではやれ童貞だの女の子と手を繋いだこともないだの別に開かなくてもいいところまで開いて書いてんだって気がしないでもないですけども、そりゃああれですよ、王国ですからね、しょうがないですよね。正直は美徳ですね。ああそう、君らに一つ恋愛アドバイザーとしてアドバイスをしておくとだね、モテない自分を演出してもよりモテなくなるだけだからな。覚えておくといいよ。あたし? あたしはもうネタにでもしないと辛くてついうっかり「まぜるな」と書いてあるトイレ用洗剤とかを片っ端から混ぜたくなりそうですので。
 あれですね、結論としては、美的感覚がマイナスの意味で自信があるというマニアの女性の方が見ていたらご連絡ください。あなたを満足させる自信はありますよ?

<近況報告>
  • ノートパソコンのハードディスクが壊れました。データは逃がしてあったので特に損害はなかったんですが、メーカーのサイトで修理費を見積もったら48000円ですと。なめてんのか。どんだけ高いハードディスクだ。
  • いやまあ、性能的に不満はないし、中古で5万円じゃ同じスペックのノートは買えないだろうから直すけどもさ。もうちょっとなんてか融通利いてもいいんじゃないかなあ。
  • ゲームレビューページを更新すべく某ゲームを進行中。なかなか面白い。ゲームレビューを待っているという方はしばらくお待ちください。そんな人いるかどうか知らないけど。
  • > 3月の占い更新きたー!
     マダム死んじゃったんですけどね、イスラエルで修行をした娘がね。もうすごい大変な思いで亡命してきてね。


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