09/18「学生時代論」

 ということで、あれなんですよね、なんてかな、夢を見るじゃないですか。と云っても少年はパイロットになる夢を見る、というほうのあれではなく、夜寝るときに見るアレです。
 あたしは比較的眠りが浅いほうらしく、夜中に何度も起きたりしてなかなかこうちょっとそれ病気なのとちがうかなあ、みたいなあれではあるんですが、そのせいでかどうやら他の人に比べてもよく夢を見るほうらしいんですね。で、最近になって気づいたんですけども、この夢になっているのの舞台がほぼ100パーセントと云っていいくらい学生時代なんですよ。
 それも大学生の頃ではなく、高校生・中学生時代がほとんどで、とは云ってもあたしの場合は高校は男子校という名前の時間が止まった氷の世界でしたからあれなんですけど、高校時代だと認識しているにも関わらず女子生徒が普通にいたりするので、そのへんはまあなんと云うか夢の都合のいいところなのでしょう。
 人間が夢を見るメカニズムというのはまだ完全に明らかになっているというわけではないらしいのですが、至極簡単に云えば基本的には「記憶の整理」だそうで、そういうことからすれば、ここまで何度も何度も学生時代の夢を見ているあたしには学生時代の記憶なんかもう埃一つないくらいに整理されててもおかしかないはずなんですけども、なぜかこのエリアだけが未だによくニュースで話題になるゴミ屋敷状態らしく、まだ整理したりないとばかりに学生時代の夢を見るわけです。
 しかしまあ、だからと云って別に女の子といちゃいちゃしている夢ばかりを見ているとかそういうわけではなく、なんというかこうそこらへんは童貞の哀しい性と申しますか、自分の夢の中だから何をしてもいいし設定なんか如何様ににも変えられるにも関わらず、なぜかこう女の子の手なんか握ったら嫌われちゃうんじゃないかなあみたいなそういう夢の中でまで童貞魂が邪魔をして、結局平々凡々な学生生活をなぞるだけの夢に終わることが殆どではあるのですが、しかしそれにしたってこうまで学生時代にばかり夢が偏ってるというのはいささかおかしいのではないかとこう思うわけです。
 単純に今が辛いからただ単に現実逃避をしているだけなんじゃないかとかそういうあれだったらすごいアレなんですけども、まあそういうこともないではないかなというのはともかく、学生時代というのはアレですからね、基本的に希望に満ちていた時期ですから、これはどうしたってそういうのが中心になるのは仕方がないことではあります。
 いや別にあの頃の俺にはなんだってできると思っていた、みたいな脳味噌に花が咲いたような理由ではなく、もうちょっとミニマムな、俺の将来もきっと楽しいだろうなあみたいな漠然としたものではありましたが。
 今考えれば何を根拠にそんなことをと思うところではありますが、あのときは漫画とかで読んでいるように普通に恋をして結婚なんかしたりして幸せな家庭の一つでも築いてるだろうというようなあれでして、まさか20年後の俺が結婚どころか未だに女の子の手すら握ったことない状態のままだなんて思いもしなかっただろうな。ごめんな小学校の頃の俺。お前の期待は俺には重すぎたよ。不細工は20年経っても不細工なんだぜ20年前の俺よ。
 もちろん学生時代だっていいことばっかりじゃなく、嫌なこと辛いこともいっぱいあったわけですが、夢なんてそんなネガティブなところなんか全て取っ払いでいい思い出だけを浄化するという非常に都合のいい、云ってしまえばロシア人力士が吸ってたアレによる幻覚と同じようなもんですからね、そりゃもう夢の中では幸せいっぱい夢いっぱい今日もハートが深呼吸な状態になるわけです。
 まあ、男子校通いだった高校時代はともかくとして、小学校中学校の頃なんてのはとにもかくにも学校へ行けばいろいろイベントがありましたからね、云ってしまえば毎日がギャルゲーだったわけです。隣の席に女の子が座ってるのって凄いことだよな今考えるとさ。
 まあ、あたしの場合は極端にイベントが少ないギャルゲーではありましたが、いちおう女の子と話をしたり、友達とバカ話をしたりして日々が過ぎていくという、これが幸せでなくてなんなのかというようなあれだったわけですね。いや幸せなんだよこれが。これが当たり前になっている人にはわからないかも知れないけれども。
 いやもちろん、その後は女の子に告白して「笑われる」という形でフラれるというかはなから相手にしてもらえなかったりとか、こっそりラブレターを送ってやっぱりこれでもかってくらいこっぴどくフラれてみたりとかずいぶんギャルゲーにしてはフラグ立ての難易度が高く仕打ちのきついギャルゲーではあったのですが、って鑑みるとなんで俺学生時代を楽しいと思ってんだろうな。今に比べればそれでも楽、とかそういうあれか。どんだけ辛いんだ今。あとどんだけ不細工な恋愛体験しかしてないんだよ俺はさ。
 とりあえずなんてかな、そういう恋愛で失敗と云うか、相手にもされなかった経験を除けば、友達とバカ話をしていれば過ぎていった学生時代の時間というのは確かに楽しかったのは事実で、なんとなく漠然とああこういうのもいいなあ、なんて思ったりしていた時期というのは確かにあるわけですが、じゃあ今あの頃に戻りたいかと云われるとそれもまた微妙なわけでして、そういう微妙なところが夢という形で学生時代を色々間違った形で再生しているのかもしれないなこれはな。うん、夢ってのはいいもんだ。いいとこ取りだもんな。夢の世界で一生生きていくことはできないものか。それただの現実逃避じゃないのか。
 しかしまあ、夢の中で時々名前も忘れてたような、それこそ卒業以来一回も会ってないような友達と再会することがあって、起きたときになんで今さらあいつが、とか思うわけなんですが、きっとそういうのも脳の中のなんかそういうあれなんでしょう。昨日の夢で滝瀬君とか久しぶりに会ったよ。元気ですか滝瀬君。
 異性に関する部分もアレなんでしょう、たぶんそういう辛かったところはすべてなかったことにして、楽園のような環境を再生するからこそなんでしょう。だって今まで夢にあたしが告白して玉砕した女の子たちが出てきたことなんか一回もないもんな。たぶんあたしの中で彼女たちはなかったことになってるんだろうなこれはな。人間の自己浄化能力って凄いよね。
 だからこう時々、ものすごく運がいいと女の子と並んで歩くことができる夢を見ることがあるんですけども、それでも手を繋げないあたりがこの隔たりというやつでこれがもうベルリンの壁なみに強固なやつが立ってるんだと思いますがそれはともかく、そういうときに出てくる女の子って、起きてみると「あ、こんな子いたなあ」って子ばっかりなんですよね。きっと彼女たちも現実では、今頃めいめい結婚したりとかして幸せな家庭を築いてるものと思いますけども、まさか元同級生だというだけで童貞31歳の脳内で15年近く遡って土手を歩かされてるとは思うまいよ。
 しかし昨日見たのは卒業式の夢だったのですけれども、これを境に学生時代の夢は卒業するのでしょうか。絶対ないなないない。そんなことで辛さが癒されるほど現実は甘くねえんだ!少年たちよ、夢を見よう。夢の中にこそ幸せがあるんだ。
 何があったんだ俺は。いえ何もないですただちょっと恋がしたいお年頃なだけです。ずっと前からじゃねえかそれ。

<近況報告>
> 新品未開封ですか、せつなさ炸裂ですね。あのブームは確かにバブルだった、懐かしい。小説とかあったよね。
 CDから何からなんでもあった時代なんですよあれは。今考えればなんであんなのにみんなで踊ってたんだろうと思うところではありますが。まだ当時学生で金があんまりなかったからよかったものの、社会人だったりしたら大変だったな色々と。
> リアルが辛いから更新頻度が上がるのか。と隣人は心配であります。
 隣人って誰だ!もしかして102号室の田中さんか!?毎日夜中にばたばたしてごめんな!いや現実は辛くないですよそんなに。ちょっとしか。少しだけ。多少。まちょと覚悟は。
> イカスミ大量に食ったあとはうんこ黒くなるよね。
 なるね。あれ気持ち悪いよね。なんだこのうんこトークは。
> 「値上げ論」は面白かったです、またこのノリで書いてください
 もうなんか自分のテンションがコントロールできなくなりつつありますのでムラがあるということは最初に云っておこうじゃないか。じきに政治批判とかはじめるかもしれないぞ。やんないけど。やんないんかい。
> いやそんな事は高御さん。ばしばし更新を。/しかしこの高御さんて慣れないですね。ついひ…ゲフン
 さあ今すぐ正体を明かすんだ。まあ昔は名字だけ本名で書いてたから昔からの人にはそうなるかもしれませんが。
> ユメでユメでみんなと〜おんなじ会話してたよ〜♪
 なぜ歌う。カラオケで歌うとわけわかんなくなるよこの曲。どうでもいいけど。
> 弱冷房車が憎いけふこの頃。
 そうそう。特に真夏とか、「強冷房車」を作ってもらいたいくらいさ。なんだあの生ぬるい風は。満員電車で冷房ケチるんじゃねえ。
>巫女さんって美人しか見た事ないんですけど、何ででしょうね?バイトですら美人ばかり。
 その格好が美人に見せる、という説は如何でしょうか。服だけじゃなく立ち振る舞いとかそういうの総合的に。馬車道のウエイトレスさんがみんな美人なのといっしょですよ。なにそれはただの和服フェチかそうかそうか。
>マダム・セシール四世の占い更新期待してます!
 ほらあの人中東で修行中にテロで。その。気の毒なことです。じきに五世が出てくるかも! 何人変えるつもりだあたしは。


戻る