11/14 「妹論」

 ということで、あれなんですよ、もうこの「あれなんですよ」まで一連のヘッダになりつつある今日この頃ではあるんですけれどもそんなことはともかくですね、世の中にはいわゆる妹属性と申しますか、妹というシチュエーションに憧れる人々が多く存在するわけですよね。
 事実、ゲームやらアニメやらに妹キャラというのはつきものでして、実際に妹じゃなくてもおにいちゃんおにいちゃんと妹みたいになついてくるキャラクタというのはままあるものです。
 ま、一昔前ならその「実際には妹じゃなくて近所に住んでるけど妹のようになついてくる」とか、あるいは「いっしょに住んでるけど血のつながりはない」とかそんなんで、エロゲーなんかに妹キャラが出てくるとはいはい義理義理、なんてオチが開始十五分で読めたもんでしたが、最近はなんかルール改正で血のつながりがあってもオッケーということになったらしくてなんかもういろいろやるせないよな。
 しかしあれだ、もう義理じゃなくてもオッケーってことになったらさ、みんながみんな実の妹なんですみたいな展開になるのもすごいよな。みんなそんなに実妹との恋愛を描きたかったのかそうじゃないだろ絶対。
 しかも好きだと云った瞬間それをまわりのみんながまたナチュラルに受け入れることこの上ない。まあそこでいろいろゴチャゴチャさせると話がややこしくなるだろ、という気持ちはわからなくはないんですけどもいくらなんでもそんな簡単にまわりは受け入れないだろうとこう思うわけですがもうそんなのどこ吹く風ですね。
 比較的よく云われることとしては、実際に妹がいる人間には妹の属性は理解できないというようなあれがあるわけなんですけども、あたしにも妹がいますけどもね、理解できなくはないんですよそういうことに関しては。まあそのなんだ、おにいちゃんおにいちゃんとなついてくるような女の子が可愛い、という思想に関してはこれはもう理解はできるわけです。
 実際問題もしそういう子がいたりなんかしたらそれは楽しいだろうなあというのは想像に難くないわけですよ。こうあれですよね、屋根伝いに行き来できるくらいの距離だったりして、夜に窓を開けてたら向こうの家の窓からひょいっとその子がやってきてですね、「遊びに来ちゃった」なんてことになって「お前、屋根の上歩くの危ないからやめろって云ったろ」「だってー。お兄ちゃんもヒマそうだったんだもん。昼間はなかなか遊べないし、ちょっとだけお話しようよ」なんてな話になってですね、屋根の上に座って夜空なんか見上げながらとりとめもない話をする、みたいなそういう類のあれですよね「お前ってさ」「なに?」「学校で好きな人とかいるのか?」「な、何よぅ、急に」「いや、お前もそういうのあるのかなってさ」「が、学校には、いない、けど……」「なんだ、やっぱりそうか」「むー。やっぱりって何?」「はは。お前のことだからそんなことだろうと思ってな」なんて云うと彼女もちょっと寂しそうな顔をしつつ云うわけですよ「でも、好きな人はいるよ」「そうなのか?」「うん」「誰?」ここでちょっと間があって虫の声ボリュームアップ気味になったところで「……あのさ、お兄ちゃんは」「うん?」「お兄ちゃんは、好きな人、いる?」みたいな感じでふと彼女の顔を見ると真剣な目でこちらを見つめる彼女の目にどきっとしたところで続けて彼女は云いますよね「お兄ちゃんの中では、わたしはずっと昔のままかもしれないけど」ここで彼女がちょっと微笑んで「でもね」「……え?」「わたしだってもう、子どもじゃないんだよ」みたいなそんなような。そうだなあやっぱり舞台は昭和40年代の木造家屋かな。だから舞台とかそういうことじゃないだろ。長いよ一文が。だから改行しろ読みづらいって怒られるんだよ改行どころか句読点すら入ってねえじゃねえか。ダメな携帯小説か。
 けどもあれだ、それはあくまでもそういうタイプのキャラクターにということであって、実際に血のつながりが云々みたいな話になるとこれはもうぜんぜん別の話でして、実際に血のつながりがある妹なんてあれだぞ、自分と同じ顔してるんだぞこれ。女装した俺とおなじ顔をした人間にどう恋をせよというのかとそういうことなわけですよ。
 しかもうちの妹にあってはこれに加えてジャニオタですからね、もうどうにもこうにもならない感じでいっぱいなわけなんですけども、ときどきいるんですよ、妹がいることをうらやましがる人とか。もうね、そういう人に云いたいんですけども、二次元と三次元を一緒くたにするなと。二次元は二次元なんだと。そんなことすぐ上でうんちみたいな妄想垂れ流してるような男にだけは云われたくないと思うがな。
 繰り返すけど自分と同じ顔してる女ってすごいぞ。これになんだ、そういう感情を持つとかありえない。要は女装した自分に惚れられるかってことですからね、これはもうむちゃくちゃ難易度が高い。女装した俺とかすごいですもの。掛け値なしにモンスターですからね、夜道であれに会ったら俺なら逃げるな。
 ましてやあたしなんかはあれじゃないですか、世界でも有数の不細工っ子倶楽部じゃないですか。神様の悪戯とは云えそんなのに似ちゃった妹がただただ不幸でしかないわけでして、やがて彼女を訪れる不幸に胸を痛めた兄貴としてなわけです。いや偶然似ちゃっただけですからいやほんとジャスラックとかそういうあれはちょっと。
 いやまあうちの場合はちょっと年齢が離れてることもあって、割と仲は悪くないんですよ。別にエロゲーとかみたいにのべつべたべたしているとかそういうわけではもちろんないんですけども、普通に話もしますし。それでもじゃあそういうのにちょっとドキドキ、俺は妹を相手に何を考えてるんだ的なことにはならんわけで、そういうことからしても血縁のある妹と恋仲になる話とかに一抹の違和感を覚えるわけです。それでも君はまだ妹がいることを羨ましがるか。いきなりじゃニーズのなんとかを見るために二十四時間テレビの募金会場に行くような女を君は羨ましがれるか。いやそれは妹が云々じゃなくてうちの妹が特別ダメってことだろと仰る。真実でも云っていいことと悪いことがあるだろ君。
 そりゃまあね、妹がものすごい美人で、しかもその妹がやたらとなついてきて、年も一個くらいしか離れてなくて学校に行くのもいつも一緒、とかだったらまた話も違うかもしれないけどもな。でもそんなのは結局二次元にしかいないわけでしてそう考えるとなんと申しますかやっぱりあれだ、二次元の世界に入りたいなあと。なんだその結論。
 しかしまあさっきも書きましたけども、妹とかそういうシチュエーションに憧れる気持ちみたいなのはなんとなしにわからんではないのですよ。いつも一つ屋根の下にいてあんまりお互いを意識しない存在だからこそフランクに話ができる関係、みたいなそんなところだと思うんですけども、なかなか世の中というやつは甘くないものでして、まあ隣近所に住んでる年下のお兄ちゃんおにいちゃんとなついてくる女の子、いいとこ義理の妹くらいにしとけよと。解禁になったからって無理やり実の妹にすることないだろとこう云いたいわけです。いや誰に云ってるのかはさっぱりわかりませんが。
 ということでがんばれ妹。いい加減もう大学生なんだしジャニーズは卒業しようじゃないか。妹もいい加減エロゲーとかコミケとかやめろよと思ってるに違いないがな。
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