10/19 「文化祭論」

 ということで、最近ちょっと時間があるとアニメづいているわけですよ。いやまあ「ちょっと時間がある」シチュエーション自体が貴重なのでそれならそれで更新のひとつもしろよというところではあるのですが、なかなかそういうあれじゃないところが人間の難しいところでしてね。何を開き直っておるのか。
 いやまあそれも、最近のアニメを欠かさずチェックしていて時流に乗れればまだこうあれなわけなんですけども、以前にもここに書いたとおり、あたしの場合はあれなんですよ、「いつも同じ時間にテレビの前にいることができない」性格なものでして、正確にはまあ なんというかな、忘れちゃうんですよねやってることを。特に最近は深夜枠が多いじゃないですか、そうするともう今日が何曜日かもわかんなくなるわけだな。
 そういうまあ云ってしまえば心の奥底からダメな生活を日々送っているわけでして、それじゃあ何を見ているのかと云えばこれはもうDVDですよね。
 近所のレンタル屋がなんか毎日レンタル半額!みたいなセールをやってましてね、というか毎日セールというのはそれはもうそれが定価なんじゃないのかみたいなそういうあれはともかく、それならいっそちょっとアニメのひとつでも見ておいて若い人の話についていけるようにしようかと。いくつだ俺は。
 それでまあいろいろアニメとかを借りて見てたところでですね、一つの法則に気づいたんですよ。
 それは何かと云えば、これはもう「文化祭が楽しそうだ」というそういうあれなんですね。こらそこまた始まった、とか云わない。
 なぜか借りてくるアニメ借りてくるアニメことごとく文化祭のシーンがありましてね、まあなんというかみんなこれ青春してることこの上ない。いやほんと文化祭なんですよ時代は。もうとっくにリアルタイムな時期は外してますけども、やっぱり文化祭というのは青春の1ページだよなあとこういうことなわけです。
 だってあなたあれですよ、まず喫茶店とかやることになって同じクラスの女の子の制服の上にエプロン姿にどきどきしたり、いざ準備が終わらなくて前日泊り込みで準備して夜中のちょっとテンションが高くなってるところで同じクラスの女の子にどきどきしたり、当日ちょっと時間が空いたところでクラスの女の子と文化祭を回ってタコヤキなんか買ってベンチに座って食べつつどきどきしたり、後夜祭とかでフォークダンスなんかがあったりして好きな女の子と手を繋いでどきどきしたり、なんてかもうどきどきの宝庫じゃないですか。もうなんていうか全編どきどき。どきどきすることやめられなーいーオーイエーですよ。いや俺オリジナルですよジャスラックとか知らない知らない聞こえない。
 というようなそういうあれなのにも関わらず、鑑みてどうだ、自分のことを思い出してみるになんだかぜんぜんどきどきした覚えがないじゃないか。いやまあ演劇部で楽しかった憶えはあるけどちっともどきどきしてないぞどうしてだと思ったらそんなものは男子校だからに決まっているわけでしてまったくもってやるせないわけです。憶えてるのなんて科学部がドラム缶爆発させて後夜祭が中止になったことくらいのもんですよ。切ないことこの上ない。
 こんなことじゃいかんわけです。総合してみるにあたしの人生に足りないものはどきどきなんじゃないかとこういう結論に達したのであります。こらそこ馬鹿を見る目であたしを見ない。まあ馬鹿なんだけども。
 しかしまああたしだってもう30ですからね、あれがアニメとかゲームとかそういう世界のものだということくらいはわかります。然るに、あたしにはあれがどうにも本当のことだとは思えない。どうもなんてかな、この世のものにしてはあまりにも幸せな空間過ぎるというか、まさにエルドラドな気がするわけです。もしかしたらああいう文化祭は人の思い描いた夢の世界なのではないかとこう思っていたわけですね。
 しかしまあどうもそうじゃないらしいぞ。なんかあれだぞ、実際に学園祭前に学校に泊まり込んでどきどきしたりとかほんとにあるらしいぞ。もうなんつうかほんとやるせないじゃないか。ありえないじゃないか。あたしの知らないところでそんな幸せなことが行われていたなど信じたくもない。
 なんかあれですよ、よく合コンとか終わってなんにもなくて、次の日にいっしょにいたメンバーに「昨日の合コンなんにもなかったよな」って云ったら「え?俺あの後電話番号交換してくれって云われたよ?」とか云われたときみたいなもんです。ほんとあの衝撃ったらない。滅びちゃえばいいじゃない世の中とか。
 みたいなことでして、まあ考えてみれば火のないところに煙は立たないと申しますか、誰かしら経験したからこそアニメとかゲームのワンシーンとして使えるに至っているわけでして、誰も経験してなければそんなことそもそも誰も考え付かないわけですよね。いやこれは盲点だった。あえて気づかないようにしていただけとも云うがな。
 ということでですね、どうやら共学の学校ではそんなことが行われているらしいと。もうね、毎度の流れで読むほうもうんざりしてるでしょうけどもね、羨ましいとかそういうんじゃなくてなんていうか桃源郷に行けなかった悔しさでいっぱいな気分ですよ。
 さっきも書きましたけども、文化祭の思い出ってあたしも基本的には楽しいものではあるんですよ。男子校ではありましたけども、演劇の練習とかがんばったりして、特にコンクールとかに出てるわけでもない我々みたいなところからすれば、学園祭が唯一の発表の場なわけですからここで張り切らないでいつ張り切るか、みたいな話にもなるわけです。
 泊まりはしなかったけどかなり遅い時間まで学校にいたりなんかして、それはそれでなんかこう未知の世界だったような記憶はありますね。ってもまあ、普段から部室でだらだらしゃべってたりして遅くまでいたりはしてたんですけども、やっぱり文化祭前日のちょっとお祭りな感じの雰囲気というのは、なんとなく特別だったような気がするわけですよ。
 となれば、そこに女子がいたらまた違っていたのではないかなあとこう思うのはあまりに当然と云えば当然ではないですか。そこんとこどうなんですかちがいますか。ほんとかえすがえすもなんで男子校など選んでしまったのか自分で不思議でなりませんよ。しかもあたしが卒業した数年後に共学化しているところがまたなんともやるせない。卒業後に文化祭へ行ってみたら、なんか学校に女の子がいて驚いたもんですよ。
 しかしね、そんな人が読んでるかどうか知りませんけどもね、もしこれを現役の高校生とかが読んでたとしたら貴方に云いたい。せいいっぱい楽しんでおくがいいさと。大人になったらどんなに金があっても文化祭のどきどき感を味わうことはできませんからね。貴方が男子校だったらそのなんだ、まあそれはそれでいろいろあるさ。
 なにその無責任な対応。

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