03/09 「時代のおはなし」

 とは云うものの、やっぱりなんていうか、時代はオンデマンドだと思うんですよ。つまりユーザのニーズにすぐにピンポイントで応えるソリューションですか。何云ってるんだかさっぱりわかりませんけれども。
 どうもそのへんが最近ではビジネスの成功のカギになってるらしく、集団からミニマムへの流れというのが確実にあるわけです。
 エロゲーとかでもそうじゃないですか。あたしがエロゲーみたいなのを本格的にやり始めたのは「痕」の頃でしたが、その頃ってのはソフトの数も今よりぜんぜん少なくて、すごくざっくばらんに「学園モノ」とか「凌辱モノ」みたいにジャンルが分けられているだけでした。
 まあ、そんな中でも「ファミレス」に絞った「Piaキャロ」シリーズが今にも続く定番になっていたり、そういう片鱗はないわけではなかったんだと思います。しかし流石にその時代にそこまでのニーズを読み取った人が極端に少なかったとそういうことでしょう。
 ところが今はどうだ、単純にタイトル数だけ見ても2倍じゃ済まないラインナップがあるのはまあおいとくにしても、その影響でものすごくニーズが分断されています。ざっくばらんな「学園モノ」とかじゃあもう漠然としすぎていてこの市場で生き残っていけないという、まあ考えようによっちゃあそうだよなあと思わざるを得ない代物ではあります。
 たとえば手元にある雑誌をぱらぱらとめくってみますと確かにこれなんか凄いことになっていて、、いきなりあなた中面に人の上半身ほどもあるおっぱい(変な云い方ですが)を持ってる女の子が手を縛られて切なそうにこっちを見てる絵が飛び込んできます。もうな、とんでもない。「おっぱいはでかいほうがいい」という人がいるのは頷けますけれども、モノには限度があります。これで性的興奮を覚える人というのはおそらく圧倒的に少数だと思いますけれども、それこそがオンデマンドなのでしょう。数は少ないけれどもそれを欲するニーズが確実にあれば、天井は望めなくても下は底硬いという作戦ですよね。
 さらにめくってみるともうあるわあるわ。確かに昔から「人妻もの」とかはありましたし、いわゆる「ツンデレ」のみですみたいなのもある意味時代の流れなんでしょう。何がツンデレじゃ。
 そんな中で光り輝く「委員長モノ」。攻略キャラはみんな委員長。「キュートな委員長たちに協力してもらいながら学園の危険因子を排除し、平和な学園生活を守り抜くのだ!」いや、抜くのだ!じゃないだろ。もうここまで来るとわけわからんよな。いやまあオンデマンドなんでしょうきっと。もう「委員長マニア」がどれくらいいるのか想像もつかんけどな。
 ゲーム紹介の下にある「ジャンル」のところもちょっとえらいことになっていて、昔は「アドベンチャー」とか「RPG」だけだったものが、今ではものすごく時代のニーズに合わせて多様化しています。
 たとえばこの委員長ゲームは「学園リリカルポップADV」。意味はよくわかりませんがまあこれでもまだましなほうで、明らかに「スイングガールズ」あたりのインスパイヤーだと思われる「学園音楽ライフADV」とかそのまんまやなあみたいな「青春純愛ADV」みたいなやけに具体的なものが目立ちます。「オタク系HOW TO ADV」あたりになってくると意味がわかりません。さらには「義姉ノスタルジックADV」「学園青春恋愛レジスタンスADV」あたりはジャンルとしては長すぎるし「気持ち調合式・癒しイヤラシ姫様ADV」おい思いつきでつけてるだろこれ。
 だいたいジャンルってのはあれだ、大雑把な種類のことですから、たとえば車で云えば「セダン」とか「トラック」とかそういうあれじゃないですか。「車内セックス専用エロエロワゴン」とかないだろそういうの。コンセプトを説明してどうしろというのか。
 まあその、「ジャンル」のところに書かれたこの長いわなんだでたいへんなことになっている表記を見た時の担当編集者の気持ちはなんとなく思い図るところはございますけれどもそれはともかく、まあ、これも云ってみればニーズの多様化のひとつなのでしょう。いいのかそういうくくりで。
 ゲーム自体も、だんだんと今までの「学校でなんだなんだで恋をしました」みたいなのがどうにも通用しづらくなっているのは事実で、いろいろと変化球をつけなければいけないでしょうからまあそのへん大変だよなあというのはないではありません。そこであれですよ、今までなかったものをモチーフにしたエロゲーというのが増えてきていて、これはこれで面白い傾向だなあとこう思うわけです。
 たぶんああいうのって、考えるときは自分が最近やったこととか好きなこととかそういうことから引っ張ってきてテーマにしたりするんでしょうけれども、そういうことからすればたとえばあれですよ、証券取引ね。
 実は高御さんは最近昔からちょっとやってみたかったという理由だけで小額の証券取引をはじめたらしくてですね、小額の取引のはずなのに三日で1万円近く負けるというもう泣くに泣けない状況になっているわけなんですがそれはともかく、そういうあれですよね。デート資金とか株で増やすの。で、ちょっと主人公のことが好きなんだけど「株は負けるとでかい」っていうのを気にしててトレードを止めさせようとする幼馴染みとか、最近業績のいいIT企業の一人娘でワガママ放題のお嬢様とか、性格的に普段はものすごく気弱で頼りなさげなんだけど実は一日何百万円も動かしちゃうような辣腕のデイトレーダーなのほほんお姉さんとか、株で失敗して父親に売られて今はメイドをやっているのが原因で人が信じられなくなった寡黙な女の子とか、証券会社窓口で愛想はいいんだけど会社の外ではもうものすごく取り付く島もない感じの態度を取られる女の子とかそういうのが出てくるわけな。アドベンチャーパートと、昔の「松本亨の株式必勝学」みたいなシミュレーションパートがあって、っていうか「松本亨の株式必勝学みたいな」ってその「みたいな」がマイナーすぎて例えとして成立してねえよというようなあれはともかく、前場・後場両方ともトレードに使っちゃうとデートができないとかそういうあれなわけ。オンライントレードとか今流行ってるし、エロゲーで遊びながら専門用語や株のシステムがわかっちゃう新しいエロゲー『恋、ストップ高!』どうですかこれどこか作りませんか。いえアイデア料とかは結構です。たぶん売れないと思いますし。個人的にはすっげえやってみたいけど。
 いやしかしね、2006年は童貞が来ますよ。いやこれ去年も云ってたけどこれほんと。へたすれば童貞モテモテなんてことになったりとか「今童貞がトレンド」なんて雑誌記事が出たりとかもう童貞を捨てちゃった人は軽蔑されるとかそういう世の中に。なったらすげえな。いやしかし2006年のキーワードは「童貞」。あとあれですよ、エロゲーとかの世界では女装少年ものに一波あるね。いやほんとに。
 というわけで、時代のニーズに応えまくるこの「毒電波発信基地」ですが、ついにオンデマンドに進出です。3月10日深夜から3月11日の飽きるまでひたすら更新。連続更新。ひたすら文章を書きつづける耐久レース。もちろん内容なんかありませんよあるわけないですけども。もちろんあなたの送ったWEB拍手に即座に答えます。恋の相談、悩み相談その他受付中だよ。
 おいマジでやるのかこんなこと。マジですとも。

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