WHITE 〜セツナサのカケラ〜 (ねこねこソフト)

項目シナリオシステム音楽総合
ポイント3−
シナリオ:
原画:
音声:
主題歌:

 いや、結局、『Kanon』になりたいという、そういうことだと思うんですよ、このゲームは。このゲームが目指したのは、ゲームとして完成させる、ないしは「KANONやONEやTo Heartのようなゲームを作りたい」という思想の一段階上に、KanonやONEやTo Heartそのものを作りたいというのがあるんではないかと思ってしまうわけですね。その結果としてどんなことになってしまったかと言うと、KanonとONEとTo Heartを足して20くらいで割ったような薄味のゲームが出来てしまった、と。
 このゲームにおいてなにより個人的に解せないのが、文章の表現の仕方です。
 こういうシナリオの作中に、「(笑)」だの「俺はニヤソと笑った」なんてのを入れるのは一体どういう考えでのことだったんでしょうか。ブランニューな雰囲気を作りたかったということでしょうか。このままだとどっかに顔文字も出てくるのかと思って本気で心配してしまいました。
 あるいは、シナリオの途中に、学食で食事をするシーンで、「どうしてお前はいつも同じものばかり食ってるんだ?」と主人公が和泉に尋ねたのに対して、「天の声」とかいうメッセージが出てきて、「絵が(一枚しか)無いからだよ!」などと言って来て、主人公が「こういう突っ込みはタブーだ」などと一人で納得するシーンがあります。あるいは、和泉のシナリオが進行中、公園に行くと遠くでなにか音が聞こえてきていて、その音がする場所に行ってみるかどうかの選択肢が、「音のするほうへ向かう」「いや俺は和泉一筋だ」というものだったりします。つまり、今は和泉のフラグが進行しているからこのまま和泉のシナリオを進めるのだ、ということを、作中で見せてしまっているということです。
 わたしが一番解せないのはここです。なんでこんなことをするのか本気で疑問です。もしかしたらエロゲーの中でのメタ・ゲームをやりたかったということなのかもしれません。でもこれは到底そんなものではなく、ただ単純に世界をぶっ壊すだけの余計な突っ込みに過ぎないのです。毎回同じモノを食ってるのは絵が無いからだ、なんていうことを、ゲームの中でわざわざ言うことの意味というものが、わたしにはさっぱりわかりません。多少キツい言い方をするなら、「ナメてんのか」ってことでしょうか。舞台裏を見せるオモシロさというのがあることについて否定はしませんが、しかしそれも方法あってのことで、これではあまりにも投げやりすぎです。
 つまりね、このソフトは、きちっとした流通に乗せて出すソフトではなくて、同人ソフトであるべきだったと思うんですよ。商業に乗るレベルではないとかそういうことではなくて、製作者のやりたいこととか、実際にやったことが、同人ソフトであれば評価されるところだったのではないかなあ、と。そうすれば既存のゲームのこれでもかのパロディも、パソコン通信やインターネットの伝言板の書き込みのような文章表現も、既存のエロゲーの常識に突っ込むような表現もアリだと思うんですけどね。マニュアルにも必要以上におちゃらけた雰囲気が漂ってるし。
 申し訳ないけど、これ、わたしが一番苦手とするタイプのゲームでした。うーむ。

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