眠れる森のお姫様 (ペンギンワークス)

項目シナリオシステム音楽総合
ポイント6−
シナリオ:
原画:
音声:
主題歌:

 実は雑誌で見たときに絵が好みだったことと、このメーカーの前作が「Rumble」だったということもあって、結構期待していたんですよ、これ。少なくとも「Rumble」は絵も声も話も物凄く楽しい作品に仕上がってましたから。
 で、やってみたわけですが。まず第一印象は、その絵柄のせいもあるんでしょうけど、ゲーム画面を見ると、もろに「エターナルメロディ」。「悠久幻想曲」でもいいですけど。ぱっと画面を見せられて、これはエターナルメロディの続編ですと言われたらああそうかと言ってしまいそうです。
 で、まずその期待していた絵ですが、ゲームを起動してみるとどうもちょっと違います。時々出てくる一枚絵はいいんですが、立ち絵がかなりアレで、そのギャップがある意味凄いことになっていまして。まあ、一枚絵も首の位置がおかしいとかアゴがとがってるとかいろいろあるんですが、それはおいとくとしても、この立ち絵はそもそもキャラと背景の合成がうまくいっていないので、線が妙にがくがくしていたりします。こういうのは残念ですね。元がいい感じなだけに。
 さらにこのゲーム、物凄く男キャラと女キャラ扱いに差別があって、女性キャラはこれでもかってくらい丁寧に描かれているにもかかわらず、男キャラはこれでもかというくらい適当です。声なんかも、女性キャラはいい感じなのに、男性キャラはこりゃもういっそのことないほうが良かったんでは…。これも女性キャラは問題ないんですが、男性キャラはもう涙なしには聞けないというか。どうみても素人でああ演技指導をさせてくれというのはまあ仕方ないにしても、そもそも声とキャラがまったく合っていないのは、ミスマッチを目指したというのではなく、むしろ「男なんかどうでもいいじゃん」的ないい加減さが見え隠れしていて、こちらをしらけさせてくれます。なんせショタ系の男の子キャラがいきなり鼻にピーナッツが詰まった田中角栄みたいな声だし。なんだその喩えは。この声を聞いたときは思わず力が抜けました。ここまでアレだと腹さえ立ってきます。
 でも大丈夫です。安心してください。いっしょに旅に出る男キャラ3人は、冒険が始まって最初の戦闘でいきなり問答無用で死にますから。これで主人公の周りにはライバルになる男性キャラはいません。めでたしめでたし。こっちとしてはもうどっちらけもいいところです。
 まあ、こんなんですから、ストーリーも先が想像できるもので、特筆すべきところはありません。ただし、キャラクタの描き方が凄く上手いので、それぞれのキャラクタがそれぞれの魅力を持っています。で、CGは雑誌なんかで紹介されているようなああいうのですから、その手のキャラが好きな人にはこれはもうたまらないんではないかなと。指示代名詞が多いこと多いこと。
 あと特筆すべきはシステム。物凄く軽快で、システムにイライラすることはまったくないでしょう。過剰にならない程度の親切設計で、CTRLキーによる読み飛ばしも早いし、セーブができる場所が決まっていて、場所によってはかなり長い間セーブが出来ない(正確にはセーブはできるけどかなり前のセーブポイントに戻されてしまう)のを除けば、システムはかなり使いやすいと言っていいと思います。
 正直、「Rumble」に比べると、ちょっとパワーが不足しているような感じがしました。なんというか、ゲームとしての楽しさも、ストーリーを読んでいく楽しさもあんまりないので、残るはCGと各キャラの描かれ方による魅力…あんまり好きな言葉ではないですが、「萌え」を楽しむ作品とでも言いましょうか。そういう意味ではこれ、キャラクタの魅力をいっぱいに含んだCG集に、おまけとしてお話がついてきました、という印象がどうしても拭いきれませんでした。逆に、そういう風に割り切れる人には間違いなくお勧めです。だって、キャラクタの描かれ方は物凄く丁寧で可愛いんですから。絵は好みがあると思いますが。
 どうでもいいけど、これの英訳が「sleeping princess in forest」なんですが、つまり「眠れる−森の−お姫様」なんですね。わたし今まで「princess in sleeping forest」、つまり「眠れる森−の−お姫様」だと思ってました。どうでもいいんですけど。

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