○TOYOTA Vitz

 デミオからの買い替えの二代目ヴィッツ(SCP90)です。グレードはおそらく量販グレードの「F」、1.3リッターモデル。新車発表三日後に購入というなかなか新らしもの好きにはたまらない状態だったんですが、車自体もそれに応えるようにハイテク装備と良質な走行性能など、安価なわりにはよくできています。最近のコンパクトカーは「何かを犠牲にしている」感じというのが希薄で、買い得感はかなり高いんではないでしょうか。かなりよく走りますし、中の使い勝手もいいので通勤通学はもちろん、ちょっとしたレジャーカーとしても使えるんではないかと思います。

 で、これがまた、よく走るんですよ。見てくれよりずっとどっしりしてて、「安物コンパクトカー」のイメージはぜんぜんありません。高速道路なんかでは、インターから合流していって、軽く踏んでるだけで楽に本線の流れに乗れます。120キロくらいの巡航であれば楽にこなしますし、走行性能に関してはかなり優秀だと云っていいんじゃないかと思います。地面をしっかり掴んでくれてる感覚みたいなのがあるんですよね。
 スポーツグレードではありませんが、速く走ろうと思えばできないことはない、という感じでしょうか。
 コーナーでぐぐっと曲がるときも不安はほとんど感じませんし、いわゆるスラローム走行みたいなのでもすいすいっと鼻先が曲がっていく感じで不安がありません。車内のロールも抑えられてて、一クラス上のクルマな感じさえ受けます。これだ!という個性はありませんが、誰が乗っても安心して運転できるというのは大きいでしょう。
 ただまあ、ある程度の高速域になると車内のノイズがかなり大きくなってくるのはこれはまあ半分仕方の無いことでしょう。

実走行インプレッション

 上にもありますが、街中ではかなりよく走ります。「キビキビ走る」という表現がありますが、まさにコレでしょうね。無茶はできないかわりに、街中での使い勝手はかなりよいです。
 FFですが、サスペンションが硬いのである程度街中レベルでの無茶は許容してくれますし、車体が小さいので扱いに困ることもありません。この固い足回りはまさに欧州車のそれですが、これのおかげで、旧来の日本車的な「いい乗り心地」……つまりやわらかいサスペンションでふわふわするようなソレはまったくなく、路面がバンプするところではきっちりそれを拾うゴツゴツした感じはあるものの、コーナーリング時のコントロール性は大幅に上がっているように思いました。以前のデミオだとまだこの「ふわふわ感」が残っていたんですが、このヴィッツにはそれがほとんどありません。ちょうど同じFFでサイズも同じくらいのフォルクスワーゲン・ルポという車がありますが、乗っている感じはこれとよく似ています。
 ポロをはじめとした欧州車と違うのは、シートのデザインが室内を広く見せるためか小ぶりに作られており、特に運転席について立ち気味に座らされることでしょうか。ミニバンとかワゴンとかにはよくある着座姿勢なんですが、これは運転席からの視界をよくして広く見せる錯覚として使えるためか、この手の小型車でもよく使われています。
 それじゃあ実際に見切りがいいかというとそうでもなく、いたずらに視点が高くなるだけなのですが、さらにこの姿勢だと長時間の運転は結構疲れがたまるんですよね。それだからこそ「短い間、乗ったり降りたりを繰り返す街乗り向き」なんでしょう。
 高速道路に入ると、さすがにこのエンジンでは非力さを感じます。と云っても昔の車のように上り坂に入るともう登坂車線じゃないとだめ、みたいなことではなく、100キロまでの巡航であれば走ることに関しては何の問題もありません。ただし、音はかなりノイジーで、基本的に車内に音はかなり大きく、これがまた疲れを増します。さらに、追い越しなどでここからさらに加速しようとすると非力さを感じますし、悲鳴のようなエンジン音が車内に響きますので、無茶は禁物ですね。さらに、ある程度長距離を走るのも厳しいかもしれません。 →購入記録へ

 前から。この前からのデザインに関しては初代から比べてかなりキープコンセプトなデザインではあります。ま、それゆえに、ヴィッツからヴィッツへ乗り換えた人にはつまらないかもしれません。決して「カッコイイ」とかってデザインではないんですけども、すごく目立たないデザインというか地味なデザインなんで、飽きがきづらい感じはしますね。RSとかだともうちょっといかつい感じのデザインになるんですが、このへんの中間グレードだとほとんどの使われ方はいわゆるファミリーカーですので、これくらいおとなしくてちょうどいい気もします。長さ、幅ともに先代からは一回り大きくなっているようですが、大きさを感じるほどではありません。ですが、ボンネットからの見切りはあまりよくないかも。
 反面、後ろのデザインの印象はちょっと違います。これを見ると、あ、二代目だなってわかりますね。グラスエリアが絞り込まれているせいで視認性がさほどいいわけではありませんが、ミラーの死角が少なく車幅感覚がつかみやすいのでバックはしやすいです。ここから見ると、屋根が後ろに向かってスラントしているのがよくわかります。デザイン的には非常にスマートなんですが、これのせいで、後ろの座席の天井が大柄な男性にはちょっと狭く感じるかもしれません。
 エンジン。1.3リッター2SZ-FE型VVT-iエンジンです。1トンをわずかに超える車体に87馬力ですから決してハイパワーではありませんが、街中で使う分には十分。大人三人乗車での走行くらいならきっちりこなします。燃費は公称でも20キロオーバーときわめて良好で、CVTミッションも貢献して実燃費でもそれにほぼ近い数字は出るんではないでしょうか。タンク容量はそんなに大きくありませんが、その分は燃費でカバーできているような気がします。
 加速はCVTだから当然なんですが、変則ショックなしで非常に滑らか。エンジン音が静かなのもポイントですね。アイドリング時なんかはエンジンがかかっているのかそうでないのかわからないくらい。
 いろいろな意味で、長距離を走るにはあまり向いているとは云えませんが、街中で使うには最適にチューニングされたエンジンだと云えますでしょう。ヴィッツには1.5と1リッターもありますが、街乗り車としてのバランス的にはこの1.3リッターエンジンがベストチョイスだと思います。
 センターメーター。Fグレードなのでタコメーターはありません。これが見づらい。見づらいというか、エクストレイルもそうなんですがこの位置にあるとメーターを自然と「見なくなる」ような気がします。だから自然とスピードが出ちゃって危険きわまりない。慣れるまでの辛抱なのかもしれませんが、やっぱりメーターはハンドルの向こう側にあるほうがいいような気はします。CVTのギアが液晶のパネルに出るのはなんとなくいい感じです。
 インパネ全景です。なんていうか、非常にシンプル。ああ、こんなもんでいいんだなあと思わせてくれます。シンプルなだけに、操作するボタンとかを運転中に探さなくていいというのは安全面でも非常に重要でしょう。デザイン自体があんまり魅力的でないのはご愛嬌です。あとはまあ、ハンドルの前は物入れになってて、エアコンの横と下も物入れになってて……と、なんでかやたらと物入れがあります。世の中の人はそんなに車に小物を持ち込むんでしょうか。
 エアコンの上の画面はナビです。純正ですがいまどき新品でDVD。HDDのやつは高いんですもの。ま、基本的には近所しか走らない車につけるんであれば十分かなと。
 で、忘れちゃいけないのがこれですよ。スマートキーってやつです。Fグレードにはオプション装備なんですが、あまりに便利でしかもなんとなく近未来的な感じがしてつけてしまいました。鍵を差し込んだりしなくても、持ってさえいればボタンひとつでエンジンの始動と停止ができます。鍵を開けるときも、鍵が近くにあればドアノブを触るだけで開錠できます。雨の日とかはむちゃくちゃ便利です。4万円の装備ですが、つける価値はものすごくあるんではないかなと。
 CVT。基本的には普通のATと同じですが、「D」レンジから横にひとつ倒すと「S」レンジに入ります。マニュアルによれば、「スポーツ走行や坂道向け」なんだそうで。エンジンブレーキとかに関わってくるみたいですが、ロゴのスポーツモードみたいに明らかに違いがあるわけではないので、なんというかめったに使うことは無いかなという気はします。
 後部座席。前日に雪が降ったのでフロアマットがいきなり汚れてて悲しいですがそれはともかく。広さはそれなりでしょうか。先にも書いたように、頭が多少狭い気はしますが、足元の空間は割と広いです。シートが薄いので長時間乗るのはちょっときついかもしれませんが、移動する際に窮屈さは感じませんでしょう。ただ、体の大きい人は助手席へ座ってもらうほうがいいと思います。さすがに5人フル乗車ってのはきついと思いますけど。
 トランクの広さはかなりのもの。後部座席を使った状態でも割と十分な広さが確保されていますし、それより大きいものでもちゃんとシートがダブルフォールディングでしかも分割で倒れますので、フラットな荷室ができます(ただし、1リッターモデルのFグレードではシートがまとめて前に倒れるタイプで、このモデルの場合はシートと荷室に気になる段差ができます)。ただ、トランクの下の部分が残ってしまうんで、重いものを積み込むのはちょっと大変かも。個人的には、デミオみたいに下までがばっと開いてほしいもんです。

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